考えるヒント 「経済成長」とは

 
〜「経済成長」は人類にとって奇跡!?〜
興味深いレポートがありましたので、ご紹介します。


編集部
 
   
 興味深いレポートを提供している「Habor Business Online」様のサイトから、またまた、いびつな先進国社会を読み解くヒントになる記事を拝見しましたので、ご紹介いたします。

 話題は「米国の成長の盛衰」 ロバート・ゴードン著 についての読後感であります。

 以下、Habor Business Online様の記事を抜粋しながら概要を記します。
   
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 「経済成長」は人類にとって奇跡だった!?

 そもそも、人類には経済成長の概念すらなかったのだという。10万年に及ぶ人類の歴史のうち、およそ99800年ほどの期間は戦争や農業の誕生などを除き、「何もなかった」のだ。

 では、19世紀後半から20世紀後半のおよそ100年間で、一体何が起きたというのか。それは、ライフスタイルを激変させた“大発明”(Great Inventions)の出現だ。上下水道、ガス、電気、鉄道、自動車、缶詰に冷凍食品、洗濯機、ラジオ、冷蔵庫、電話などなど……。

 


  

 The Rise and Fall of American Growth:The U.S. Standard of Living since the Civil War


 
 暮らしの都市化をうながすアイテムへの需要は、当然高まる。それに伴い労働も効率化される。時間当たりの賃金も上昇し、さらなる消費を刺激する。それこそが、「たった一度しか起きない」サイクルだったのだ。

 だが、永遠に続くわけではない。ゴードンによれば、近代的な生活の基盤は1940年代の時点ですでに出来上がっていたのだという。1970年代までの30年間では、エンターテイメントなどオマケの分野での成長が見られたが、それも出尽くした。そして現在。とうとう緩やかな下り坂が見えてきた。“1970年代以降に生まれた皆さん、残念でした。” これが本書のメインテーマである。

 スピードや便利さが当たり前となり、“何を何のために克服したのか”が分からなくなっているのだ。時間と空間を支配するテクノロジーが人類にもたらしたものは、希薄な生と、覆い隠された死である。ゴードンの指摘は、フロイトの“予言”に通じる。

 <人間の寿命が延びたといっても、その人生が困難なものであり、喜びは少なく、これほど苦痛に満ちたもので、死を救いとして歓迎せざるをえないとすれば、いったいどんな意味があるのだろうか。>(『幻想の未来/文化への不満』 著・フロイト 訳・中山元 P176)

 経済活動が鈍化したところで待ち受けているのは、新たなる茫漠たる荒野なのである。

 原文
 
 

                            記載 2016年7月16日

  
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