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-家族が離れ離れになって、物寂しげな乱蔵一家です。-
-乱蔵は、猛暑なのでクーラーの効いた部屋で、CSの野球観戦をしています。
その隣りで、お蘭さんは購入したばかりのスマートフォンと格闘しているようですね。-
【乱蔵】よしっ・・・。イケイケ・・・・。あーっ・・・・、やばい、奴は強肩だった・・・。ゲッ、アウトだってぇ・・・・。
【お蘭】あなた、そんな野球好きなら、地元の球場の高校生の試合でも観戦行ったらいいじゃない。けっこう面白いらしいわよ・・・。
【乱蔵】そーいう手もあったかぁ。タダだしなあ。でも、あっついし、ビール売りもいないから、ちょっと面倒かなぁ・・・・。あっ、そこだ。走れ、走れ!!
【お蘭】アナタも走ったらぁ・・・なんていうと、私もしなきゃいけなくなりそうだから、黙ってよ・・・。ほほほ・・・。でも、ナニ、スマホって、面白いけど、メールばかりくるから、いちいち見ているの面倒だわぁ・・・・。あら、タマリからラインめーるねっ・・・。なになに・・・。えっ、今日は友達の家に行ってからお婆ちゃんのホーム(老人施設)に泊まって行きます・・・だって。まあ、ばあちゃん孝行は、私も助かるけど、そのブン、嫁のアンタはちょっと冷たい・・なんて厭味言われることもあるから、良し悪しなんだけど・・・。
-そのころ、娘の田万里ちゃんは、バイト帰りで西武線の久米川駅で友達と待ち合わせしていました。ちょうど、母のお蘭さんのラインの返事を読んだところで、変換が難しい字が平仮名のままになっているのと、やたらにスタンプを使っているのが可笑しくて、ひとりでスマホみながら笑っているところでありました。-
【田万里】(ほんとに、ママったら天然なのよねぇ・・・。スマホ嫌いのパパが反対するのを説得して、格安スマホ契約したけど、アプリをいくつかダウンロードしたら、すぐにいっぱいいっぱいになって、なに削ればいいかなんて、いつも聞かれるから、結構めんどうなのよね。でも、ポケベル時代に絵文字やってたみたいだから、あれはナカナカ上手なのね。ははは・・・・。)
-そうしているうちに、また母親からラインメールが来ました。絵文字でふざけているようですが、お出かけしたいのに、旦那のコシが重くてつまんない・・・って訴えているようです。-
【田万里】(そんなこといちいちメールされても困るんだけど、まあ、くまもんのOKでもおくっておくかぁ)。
-そのころ、息子の環くんは、九州の某郊外の廃屋近くで、彼女のミカちゃんと、野外デートしていました。-
【ミカ】環くんば、こんな隠れ家すいちょーって、なんかたのしかっねっ・・・。
【環】そーだねぇ。すいちょーっーかあ、こんな淋しいところで、こんな面白いものあると、ついつい通いたくなっちゃうねぇ・・・。
【ミカ】でも、環くんば、ほんとは犬ば好きでしょ?
この子たちば猫じゃけん、私はなんで環くん、猫ば、こんなにすいちょーか、不思議だったけんなぁ・・・・。
-どうやら、環くんは、廃墟に暮らしている子猫たちが気になって、ここに通っているようですねぇ・・・。。-
【環】母猫がいつもみえないから、どこかで事故にでも逢ったんだろうね。やっとミルクから普通のエサに変わるところだから、ここまで育てるのが大変だったなぁ・・・。。
【ミカ】そーね・・・・。アナタのアパートも、わたしとミドリねえさんの部屋も動物飼えないばってん、どげんしたらよかか、2人で悩んでばっかりだったもんねー。でも、環くん、優しかねっ・・・。そげんとこ、好いちょー・・・。
-・・・と、子猫を膝に乗せて遊ばせている環くんの頬に、チュッとするミカちゃんでした。-
【環】あっ・・・。やばかぁ・・・。なんか、ミカちゃんに「好いちょー」って言われると、ゾクゾクしちゃって、なんでも頑張っちゃう気になるから、不思議・・・・っね。
-ミカゃんにチュされた左頬にそっと指を当てて、子猫にじゃれ付かれながら嬉しそうに笑っている真夏の環くんでありました。-
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