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-環が里帰りしたあとの乱蔵ファミリーです。-
-環は立花さんの営業車に便乗して一度東京に戻ったのですけれど、一晩だけ泊まり、祖母のトキさんの老人ホームに挨拶にいくと、そそくさと深夜バスに乗って九州に戻ってしまったのであります。-
【乱蔵】うーん・・・・。なんだかしらんけど、せっかちな奴だねぇ・・・・。
【お蘭】あらあら、スーパーせっかちのアナタが言うのもおかしいんだけれど、木枯紋次郎の駆け込みメシじゃないけれど、取り付く島もなし・・・って、あのことねっ。
・・・・・。 あの子、何をいそいでいるんだかわからないけれど、まったくそそくさ・・・って感じで、まともに顔みたのは5分くらいじやないかしらぁ・・・・。いったいなんなのを????
【乱蔵】身なりや感じはそんなに変わらないんだけれど、何か今までと違うムードがあったような・・・・。
【お蘭】あの子はねえ、夢中になっていることがあると、他が目に入らないタイプだから、案外私たちの心配とかは気にしていない感じ・・・・よねっ。
そんなことより、なにか他のことで急いでいるみたいだったけれど・・・。いったい何かしら、ねぇ・・・・。
-そこへ、バイト帰りの田万里ちゃんがリビングに顔出したので、環の話題は三人で盛り上がることになりました。-
【田万里】どうも、九州のどこかに、環が見つけたいものがあるらしくて、今は東京で長居しているのが、まどろっこしいくらい、九州のなにかにこだわっているみたいよぉ・・・・。、
-・・・・・と、環が姉に送ってきたラインの画像を見せてくれましたけれど、古ぼけた建物が写っているだけで、いったいなんのことだか、両親の乱蔵とお蘭さんはさっぱりわかりません・・・のでした。
【お蘭】あの子は言われたことはちゃんとやるし、でも好きなことは絶対に妥協しないタイプだけれど、建物とか街の風景みたいなものは、あまり興味ないはずだけどね。
【乱蔵】大学にはちゃんと行っているし、教養科目は楽勝・・・だっていってたけど、何が気になっているんだろうねっ・・・。
【田万里】まあ、彼女のみどりちゃんとも、フツーに仲のいい恋人みたいで、そんなことは何も悩んでなくて、何か気になるものを見つけて、今はそのことで「忙しい・・。」とか行っているのよね。
【乱蔵】????なんだぁ・・・・。俺はものごとにこだわるタイプじゃないから、よくわかんないなぁ???
-乱蔵は息子の志向が意味不明になっているようであります。-
【田万里】ただ、パパは将来の仕事がカネにならないことやっても意味ないから、無駄なことはやるな・・・、みたいなこと言ってたでしょ? 環はふと、「金になるならない・・・の話はもっとあとでいいから、こだわるものを見つけたいから・・・・どーのこーの・・・言ってた気がする。
【乱蔵】そーなの・・・・。無駄っていうのは、言いすぎだったけど、金にならないことやってあとで苦労して欲しくないだけなんだがねっ。
【お蘭】まあ、アナタの言ってることは通じているはずだけど、あの子はそんなにお金がどうの・・・つてことは昔からこだわらないタイプだったけど・・・。
【乱蔵】かといって、無駄なことやり始めたら心配になるが・・・・。
【田万里】でもさあ、パパの言う「無駄」って、ときにはすごく嫌な感じもあるよ。お金だけだったら、親切とか友達とかってほとんど無駄ってなる感じに聞こえるし・・・・。
【お蘭】そんなことないわよ。生活力がなくならないように、ちゃんとやってくれ・・・っていう意味だから、親切が駄目とか言ってないでしょ???
【田万里】まあ、そうなんだけど、環の話は、もっと別みたいだけどね。
-いったいなんだろう・・・・・と三人は首をかしげるばかりでありました。-
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