「肉食系」お蘭の仕込み!!
★食べ歩きB級グルメ 立川駅北口「酒亭玉河」 

-お昼時の立川駅周辺。買い物客や勤め人がランチを求めてにぎやかです。-

      
  
  
   
  
 
  
 
 
  
【お蘭】パパが言ってたけど、ランチタイムは「居酒屋」が狙い目だって・・・・。

【タマリ】それって、「質より量」ということかもよ。

【お蘭】まあ、いいでしょ。パパは何より価格重視で節約してくれているんだから、私達も親父流B級グルメで、今日は食べましょ・・・。

-ファーストフードに行きたいタマリでしたが、パパの好きそう・・・・に誘導されて、キョロキョロしています。-

【お蘭】それにしても、立川の北口ってメガネ・コンタクトの呼び込みばかりねぇ。

【田万里】夜の南口はキャバクラのお姉さんばっかりよぉ・・・。

【お蘭】あらぁ・・・。南口は学校も多いけど、フーゾクも多いから可笑しな街ね。

【田万里】ママ・・・。とにかくお腹すいたぁ・・・。

【お蘭】はいはい・・。

-二人は、駅前の小さなビルの地下にある居酒屋「玉河」というお店に入りました。入り口のガラスケースにあるメニューをざっと見て、狭い階段を下りていくと、テーブル席を囲んで、小さな座敷が入れ込みになっており、座敷では昼間からランチを肴にビールを飲んでいる高齢者のグループが多く、自然とテーブル席に案内されました。店員は少し若い女性と、高齢のおばさんで、お蘭は昔の大衆食堂を思い出します。-

【田万里】ここって、オジサンの店ね。

【お蘭】女の人もいるわよ・・・。でもオバサンばかりだけど・・・。

-お蘭は「とんかつ定食」、タマリは「キス定食」を注文しました。
タマリは、それぞれ狭い席で盛り上がるオジサン、オバサンたちのイキオイに圧倒されていますが、ひきこもり娘の「社会経験」とも考えるお蘭は、昭和の匂いを思い出しながら、狭い店内の壁に貼られている朱筆のメニューをチェックしています。-

【お蘭】鯨のベーコンとか、砂肝のから揚げなんて懐かしいわねぇ。

【田万里】いかにもパパが一杯やってそうなお店ね。

-しかし、定食が運ばれて、お腹ペコペコのタマリが食べだすと、無口になってムシャムシャ食べている様子をお蘭は微笑んでみています。-

【お蘭】「キス」っておいしいでしょ?

【田万里】うん。おいしい・・・。でも、なんでママは「とんかつ」なの?

【お蘭】ママは今日は「肉食系女子」なの!

【田万里】意味わかんない・・・・!?

-定食はそれぞれ850円でした。お蘭さんは、気のおけない昔の同級生とここで学生時代に味わったツマミで一杯やりたいな・・・などど思いつつお会計です。-

-帰宅後の夜10時。リビングで夫の乱蔵が湯上りにビールを飲んでいるところ-

【お蘭】今日、あなたが言ってた「玉河」に行って来たわよ。

【乱蔵】へーえ。タマリいっしょかい?

【お蘭】そうそう・・・。まあ、安くておいしかったけど、ちょっと昔の居酒屋って感じで、タマリには合ってなかったけど・・・・。

【乱蔵】あーっ、駅のまん前の地下のほうかぁ。

【お蘭】そうよお。

【乱蔵】右側のケンタのある路地の先の方が、タマリはよかったなぁ・・・。

【お蘭】まるで、昭和のドラマみたいな店だったわ・・・。

【乱蔵】ははは・・・。違いない。朝から飲ませてくれる奇特な店らしいからね。
何軒か系列あるみたいだから、説明不足だったかぁ・・・。
ケンタの奥の小奇麗な店のことを言ってたんだよ。

【お蘭】ははあ・・・・。ふふふふ・・・。

-そこへ、2階からタマリちゃんが降りてきました。-

【田万里】パパ、おかえりなさい・・・。
ママ・・・。「玉河」って「グルなび」に出ていたよ。何軒もあるよ。
私たち、店、間違えてない?

【お蘭】そーなのよ。昔バージョンの方へ行っちゃったみたい。

【田万里】やっぱね。でもキスの天ぷらおいしかった。

【乱蔵】おお、キスの天ぷらかぁ・・・。いいねぇ。
釣りに行きたくなるなぁ・・・。

【タマリ】へぇー。キスって釣りでつれるの?

【乱蔵】もちろん・・・。
透明で、かわいらしい魚だ。
まあ、美人の魚ね。

【田万里】でもママはとんかつ食べたんだ。今日は「肉食系だとか・・・意味わかんない」

【お蘭】
わかったわよ。もう寝なさい。明日はスクールでしょ。

【田万里】はーい・・・・。

-と、洗面所に向かい、歯磨きを始めるタマリちゃん。-

【乱蔵】・・・・今日は「肉食・・・?」

【お蘭】そ・う・よ・・・・。

-乱蔵はビールをぐいっと飲み干すと、お蘭にウインクしました。-


   
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