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ある日、多摩地区の最奥エリアに住むご家庭の愛犬のお話です。 このエリアは東京の田舎としかいいようのない、のどかな地域ですけれど、さすがに愛犬の放し飼いはできません。しかし、飼い主は人目を避けて密かに山間部に愛犬を連れて行き、大自然のドッグランなどを楽しませていたものですから、このワンちゃん、走り回る楽しさを知りすぎていました。 ビーグル系の雑種で、人なつこさは天下一品で、どんな人にもなついてしまうのも玉に傷ではありますが、長閑に暮らすこのエリアの人たちには可愛がられており、疑うことも知らず警戒心もゼロなので、まず番犬には向かず、かまってちゃんの塊みたいな子ですから、飼い主もしつこすぎて疲れてしまうほどでありましたね。 ★ ★ ★ ★ ★ ・・・まあ、このワンちゃんはこの家庭の庭では囲いの中でときどき放し飼いをしてあげていたのですけれど、飼い主の日曜大工の腕がいまいちだったこともあり、ある日の夜柵の隙間から脱走してしまい、ご近所を走り回ってしまったのであります。 人様にかまって頂戴・・・・はしきりにしても、人を威嚇したり噛んだりはしないワンコでしたが、皆さんが犬好きではありません。迷い込んだお家の方が通報して警察に「御用」となってしまいました。 翌日、犬の脱走に気がついて慌てたご主人と奥さんは、警察に問い合わせてみると、やはりウチのワンコらしきが地元警察にだ捕され、保護されていることを知り、脂汗かきながらすぐに警察署に向かいました。 愛犬はおりましたよ。署の裏手の駐車場の隅に鎖でつながれていましたが、超ご機嫌で悪びれもせず、ご主人のお迎えに大喜びでありました。 案内してくれた人の良さそうな警察官が「しかし、この子は懐っこくてバトカーで移動中も、尻尾ふって警官の顔ペロペロ舐めてご機嫌だったよ。今後気をつけてくださいね。」と笑いながらも軽くお叱りでありました。 平あやまりのご夫妻でしたが、捕まったときの証拠写真をみましたら、このワンコ、満面の笑みで尻尾を振りっ放しのシーンでありました。お巡りさんたちに構ってもらって嬉しくて仕方ない・・・っていうショットでございました。 まあ、わらっちゃうしかないでしょーね。こちらのワンコは、数年後遠い他家に里子になったのでありますが、そのお別れのときも満面の笑みで尻尾振りっ放しだったんですって。 |
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2018.02.22掲載 | ||||||||||||
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