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C人望の篤い・・・・・人。 -やはり生き様は最後に判明するらしい・・・-


 これもワタシの身内話で恐縮なのですが、人生半ばで不運にも天に召されてしまったイトコの生き様であります。

 彼は美術大学を卒業してから、美術科の教師やお絵かき教室の先生として地域の子供たちとふれあう生活をしていたのですね。

 ワタシとはイトコでありますが、冠婚葬祭以外では、それほど直接会って付き合う関係ではなかったのですが、多摩地区で暮らす者同士なので、バッタリ出会うことも在り、まあ、お互いに息災であることを喜ぶ程度でありました。ただ、姓が同じで顔も身内以外から見れば似ているようなので、共通の生徒(以前はワタシも教員関係者でした)から、なんかムードが似ている・・・と指摘されたこともありましたね。

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 彼が急死したのはあの東日本大震災のあった年でした。
 自宅で急に苦しみ出して、家族が救急を呼んでのですが、動脈が破裂したそうです。

 突然の若いイトコの訃報に身内の私たちは心底驚き、悲しみは突然すぎて実感できなかったくらいでしたね。

 西多摩の山の中の斎場で、葬儀はシンプルにこっそり・・・・と行われました。
 いや、本当に小さな葬儀のはずだったのです・・・・。

 私たちが驚いたのは、通夜、告別式に線香をあげにいらした慰問客の多さです。
 お坊さんの読経が終わってからもお焼香を待つ人たちがえんえんと続き、後で聞いたのですが、700人の参列があったのでした。

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 お金や儲け話にはまったく無縁で、清貧な生活そのものだったイトコの死を悼んだ人たちは、彼とかかわりのある教え子たちがメインでした。

 中には車椅子の人、知的障碍者と思われるかた、主に、教育と福祉の関係者のようでしたが、皆涙をいっぱいに溜めて、ココロから彼の死を悼んでいたのがとても印象的でありました。

 
彼の人望の篤さを彼の死によって身内である私たちは知ることになったのです・・・・。

 立派な男だったんだなぁ・・・・。
 温厚な彼の笑顔の遺影がずっと微笑んでいるように見えましたね・・・・。

 
 

人生の価値とはなんなのでしょうね・・・・。
                                            2018.11.02掲載
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