★タマタマ伝説★   項目TOP
   アウトな人たち
   裏山 杉
⑰玉裏ドラゴン君のお話 -粋なママの素敵な意見-


 
若き息子が「ねぇ、かあさん、俺、タトゥーしたいんだけれど・・・・。」
 と、天然顔で尋ねたものですよ・・・・。

 母子家庭であっても、しっかりと3人の子供たちを育て上げつつあるこちらのシングルマザーのお母さんは、仕事も人望も抜群な素敵な女性であります。上のお兄ちゃんは母親思いのイケ面くんでありますが、いかんせん、まだまだ若い衆・・・・。お人よしで働き者なんですが、あとさき考えず・・・のきらいがあるのは、どーしても否めません。

 素敵なシングルママYは、福祉の仕事をしていて、障碍者の入浴介助や、スイミングプールなどのサポートもしていますから、タトゥーのある人たちへの社会の冷たさも日々実感してますものね。普通に入浴や入場を断られてしまうのですから、簡単に尋ねられても、そうね。いいわよ・・・なんてワケにもいかんのであります。なにしろ、彼女自身、10代のときに若さのイキオイで恋をし、彼を生み、のち夫と別れてから3人の子供たちを独りでしっかり育ててきたのです。カワイイ長男の行く末を考えて当然でしょう・・・。社会は甘くないぜよっ・・・。

 この話を聞いていた職場の同僚男性Aは、以前彼自身の実の娘が年頃の時に家出してしまい、若くてキレイなのに、全身にタトゥーを入れちゃって、のちのち本人がとても辛い思いをしていることを痛感していましたから、こちらの素敵なお母さんが息子くんにどんな返答をしたのか、とても注目していましたよ。

 (註:このお話に出ているシングルマザーのママYと、娘が全身タトゥーをした男性Aは2人ともタトゥー自体に偏見も好嫌はありません。本人次第・・・という考えですが、この社会で生きていく・・・・という観点で自分の子供たちをただ案じているのであります)

 粋なシングルママYは息子にこう答えたそうです。
 「アナタ、どうしてもやりたいのなら、キンタ×の裏に彫りなっ!!」

 ハトが豆鉄砲を喰らった様な顔になった、長男くんであります。

 同僚のAは、速攻で彼女の長男くんにニックネームをつけてあげましたよ。

 其の名は、「玉裏ドラゴン」、略して「玉龍(たまりゅう)」でございます。

 ★   ★   ★   ★

 さて、このお話は、とあるファミレスで仕事仲間との会食のときでした。そろそろ・・・・お開きの時刻。
 Yさんにラインメールが入ったようですよ。

 「あっ、私これで失礼しますねっ。今、玉龍が駐車場に着いたって・・・・。」と、Yさん。
 「あっ、お疲れ様っ。玉龍くんによろしくねっ」

 母親思いのヤングボーイ玉龍くんが照れた笑いで、ファミレスのドアの前に立っていましたねっ・・・。
 よっ、お迎え、ご苦労さんねっ。Aが手を振ると、玉龍くんはさわやかに微笑みました。



   2017.12.04掲載
Copyright 2012 Tama Ranzou all rights reserved.