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ある日の朝、私はいつものように自転車で通学していましたよ。 あれは、案外寒い冬の朝だったなぁ・・・・、と記憶していますけれど。 そうそう、この道は駅の近くで、「開かずの踏み切り」に近い、ずっと列車の行き来をまたされる道でありまして、その日も運悪く、踏切が閉まってしまい・・・、カンカンカーンと、器械がなっている間、私は遮断機の前で、じっと向こう側の風景を眺めるばかりでありました。アタマの上でカンカンカン・・・・と警音が鳴り響いている朝の光景・・・・・であります。 ・・・・と、ふと目に入ったのは、鎖を解かれたフリーの白いワンちゃんが、なんと、線路伝いに駅の方向へ向かって、意味なく歩いている光景でしたぁ・・・・・・。 「おーい、ワンコ。なにやっているんだぁ・・・・。そっちいったら電車がアンタの上を通過しちゃよぉ・・・。」と叫んでみたところで、通勤時刻の喧騒につつまれて、かのワンコの耳に入るわけでなし、入っても理解できるか、わっかりませーん・・・。ワンコは、下を向いたままひたすら線路上を駅に向かって歩いていきます。 ワンコの行き先は、今、停車中の電車の第一車両・・・・・。つまり、もうすぐ出発する電車にマトモに向かっている・・・・という、実におバカな状況なんであります。 やれやれ、早く線路の上から離れないと、アンタは車両の下敷きになっちまうんだよぉおおお.....。 ところが、このワンコ、下を向いたままひたすら歩いていて、その先に電車がいることなんて、全然気がつかないのですよ。 そりうち、電車が発車して、ゴトゴト動き出したじゃありませんかぁ・・・・・。 うわっ、やべえ・・・・と思っていると、さすがに電車の運転手が気がついたのか、ブゥオン!!と警笛を鳴らしましたぁ・・・・。やっと、顔を上げるワンコ・・・・・。 しかし、コイツは、横に逃げるどころか、電車に向かって、ウォオオーン!!!!と吼えまくっているのであります。 なにやってんだぁ・・・・。おバカ。立ち向かってどーする?????? 私は、この電車とワンコの対決を体に汗握りつつ凝視するしかありませーん。 迫り来る電車。立ち向かい、吼え続けるワンコ。しかし、ワンコは勝てないことを悟ると、やっと体勢を変えて逃げることにしたようです。 でもどっちへ・・・・。ぎゃー!!そっちじゃないってぇ・・・・・。 ワンコはパニックになって、なんと、もときた方向・・・・つまり、電車が走っていく方向にそのまま走り出したのであります。 電車は通勤客の運搬を優先して、ワンコに構わずどんどん加速していきます。 ガタンゴトーン、ガタンゴトーン、ガタンゴトーン・・・・・・。 もういちど電車は警告音を発します。ブゥオン!!ブゥオン!! カンカンカンとなっている遮断機の音とあいまって、私の額に冷や汗が・・・・。 ワンコはひたすら電車に轢かれるのを知らず、線路の上をそのまま走っているおバカのまま・・・・。 うわっ、せまっている・・・。やばい、しんじゃう・・・・・・。 私はワンコが電車の下に呑まれてしまった様に見えました。 あっというまに通り過ぎていく電車・・・・。 うわぁ・・・。犬のずたずたの死体がそこには・・・・・・、なかったのです。 ああ・・・。 おバカなワンコは、寸前の横へ逃げて、なんとか難を逃れたようです・・・・・・。 ・・・・が、そのワンコ。 またまた、線路の上を歩いている・・・・。 もーっ!!!!!わしゃ、しらん・・・・・。 |
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2016.12.20掲載 | ||||||||||||
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