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あのころ、あいつは、東京育ちなのに、わざわざ地方大学に入って、長期の休みのたびに航空会社のスカイメイトという、割引運賃をつかって、東京と、地方都市を行ったり来たりしていたんだね。 まあ、血気盛んな年頃だから、オトコのなにがし・・・も元気・・・ということで、彼の親友が、東京仕込の当時「ビニ本」といわれているエロ本の中古品を紙袋いっぱいにプレゼントしたそうだ。 あいつは、賄い付きの下宿に住んでいて、東京仕込のエロ本は、同じ屋根の下の仲間に大好評で、就寝時刻になると、彼の部屋に・・・・「貸してください」という要望が多くて、頼られる彼もそんな立場がウレシイ感じもあって、まあ、元気なオトコ集団では人気とりという点で悪くはなかったんですって。 まあ、それで、羽田空港へ向かう寸前で、その薄っぺらい紙袋に突っ込まれたエロ本を抱えて羽田空港のカウンター前で呼び出し待ちだった、あいつ・・・。 たしか、あれは全日空のカウンター前・・・とか、言ってたよ。 スカイメイト・・・というのは、キャンセル待ちの次で、それも順番が遅いと次の便、そして次・・・・と、一日がかりだったり、翌日まわしになったりで、気が抜けないんだって・・・・。 で、夕刻も迫って、3便も待っていたあいつ。 やっと呼び出しがあって、あまりに慌てて飛び出たもんだから、あの薄っぺらいエロ本の詰まった紙袋が破れて、廊下いったいに「芳賀書店」とか書かれているビニ本が、人がごった返しているところにババぁーと、広がっちまったそうなぁ。それもふた袋分で、すっごい量が入っていたらしいぞっ。 そりゃ、恥ずかしかったらろうよぉ・・・・。なかしろ、AV なんて、なかった時代だもんなぁ。。。、 手続き係のお姉さんは、みとれるばかりの美人だったというし、破れたフクロにエロ本かき集めてカウンターへしげしげと向かう奴の顔が目に浮かぶよーじゃんかぁ・・・。 まあ、初めて乗ったヒコーキで、向かいに座っていたスチュワーデスさんと話し込んで、記念写真まで撮ってくるような奴だから、なんとか笑ってごまかしたろーけど、やっぱりかなり恥ずかしいじゃんかぁ。 それでも、やつ、ちゃんと遠くの下宿までなんとか運んで、下宿仲間のヒーロー的な役割を果たしたっつーから、あの時代もおおらかでよかったみてーなぁ・・・・。 |
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2017.01.16掲載 | ||||||||||||
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