タマリちゃん、お年頃です!!
★季節の中で
 
娘の心境
 
 田万里の変身B

-季節はまたも女性を変えるのかな・・・・。-

      


   
  
 
   
  
   
   
   
 
  
-田万里ちゃんは、新緑の公園を優しそうな男性と楽しそうに歩いていました。-

【田万里】私って、男の人と2人っきりであるくなんてじつははじめてなんです・・・・。

【優しそうな男性】ぼくも初めて・・・かもしれない・・。

【田万里】えっ、そうなんですかぁ・・・・。新(あらた)さんは優しいひとだから、あなたのような人なら彼女がていも不思議じゃないっ・・・て思うけどなぁ・・・・。

【新】うん、優しいってよくいわれるけど、反面気が弱いところもあるみたいで、女の子たちからすると「頼りない」って思われているのかもしれないね・・・・・。

【田万里】そーかなあ。強がっている人より私は頼もしくみえたりして・・・ほほほ・・・・・。

-どーやらタマリちゃんは新さんと初デートしているようですねぇ・・・・・。東京郊外のとある公園での出来事です。春の日の新緑がとてもきれいで、山桜や八重桜が美しいシーズンでございますねぇ・・・・。-

【田万里】なんか家族連れのひとたちがとても愉しそうねっ。

【新】へーっ・・・・。僕は立花さんから田万里ちゃんはとても幸せな家族で育っているから、きっと家庭的な人だよっていわれて。・・・・それが、いいなぁ・・・って思ったんです。

-どうも、新さんは立花さんの紹介の男性のようですね。・・・ということは、製薬会社の関係者なのでしょうかぁ・・・・?-

【田万里】立花さんって、東京の出張のときは必ず連絡してくれて、弟の様子とか、お土産なんかを持ってきてくれるのねっ・・・。両親もあんな義理堅い人は本当に珍しいっていつも感心しているのよねっ・・・・。

【新】そーでしょうねぇ。立花さんは社内の営業でもど根性オトコで有名なんですよ。人には公平だし、嫌な上司にもためらわずに意見を言えちゃう唯一の勇士なんです・・・・。

【田万里】へぇーっ・・・。弟の環が立花さんは理想の兄貴だっていつも言っていて、九州の大学まで行ったのは彼女のリカちゃんが恋しいんだか、立花さんが大好きなんだかわからないくらいだものねっ・・・。

【新】僕も、あんなオトコらしい人は今まであったことなかったですっ・・・・・・。頭の固いほんとに理不尽な上司がいるんだけれど、立花さんにだけはタジタジで、正論を通されてしまうんですよねっ。まあ、会社っていうのはいくら儲かっていても、理不尽というか矛盾だらけで不公平なんですが、立花さんの行動が立派なのでみんな本当に慕っているんです。

【田万里】男の人って、強くて優しいのが本当に素敵ですねっ。
 昔のお侍さんって、立花さんみたいな人が尊敬されていたんだろうなぁ・・・・。

【新】そうそう・・・。実際、立花さんって、戦国時代のの「立花道雪」っていう猛将の血筋らしいという噂があるんですねっ・・・。社内に歴女がいて、立花さんと仲いいのですけれど、そんなこと調べて、「えっ・・・やっぱりぃ・・・。立花さんってホントサムライみたいだって、わかったぁ・・・」なんて喜んでいたんだよ。

-田万里ちゃんたちは、紹介者の立花さんを持ち上げる話題で盛り上がっています。それにしても、今日の「デート」までの道のりはどんなだったのでしょうねぇ・・・。またちょっと彼らの会話を聞いてみましょうかぁ・・・・。-

【田万里】私が弟からアラタさんと会って見ないかあ・・・と言われて、えええ??とビックリしたんですけれど、ラインで貴方の写メみて、あっ、あのときの!!とびっくりしたんです。

【新】はい、立花さんと営業で一緒のときに、ちょっと小平に立ち寄るから付き合って・・といわれて付いていった時ですねぇ・・・・。帰省した弟さんを途中の駅まで送ってあげるから・・・ということで、私はお宅によってお茶ごちそうになり、環くんでしたよね、弟さん・・・。その環くんを乗せて私は立川駅で降ろしてもらったのですが、立花さんはなんだか八王子のバスターミナルまで送るとかで・・・。はい、あのとき、お姉さんの貴女とお会いしていましたねっ。
 とてもキレイなお母さんもご一緒で・・・。ははは・・とても愉しい時間でしたぁ・・・。

【田万里】(ほほほ・・。本当は環は八王子じゃなくて九州まで立花さんの営業車で送ってもらっちゃったんだけどヒミツ・・・)
 ほほほ・・・。そうでしたね・・・・。去年の夏でしたねぇ・・・。とても暑い日で、母が近所の人からいただいたスイカを切って、そのスイカの話の自慢が長くて私恥ずかしかったけど・・・・。

【新】いやぁ・・・、とても愉しかったですねぇ・・・・。お母さんとてもきれいで愉しい方。
 隣にいた田万里さんがまた可愛らしくて・・・・・

-・・・・・と、新さんはポッと顔を赤らめましたよっ・・・・。そして、田万里ちゃんをハズカシそうに横目でチラッと見て、またハズカシそうに下を向いてしまいました・・・・。-

【田万里】(キャッ・・・。新たさん、可愛い!!)・・・・・・・、えっ!!
 わっ・・・そんなぁ・・・・。でも。キャッ、恥ずかしいわっ・・・。

-ベンチに座っていたふたりは、お互いに恥ずかしくなって、下を向いたまま顔を赤らめてじっとしてしまいましたよ・・・・。-

-ふたりの視線の中に、可愛らしい幼児を連れた夫婦が仲良くあるいていました。
 なんか、アイスクリームの自動販売機で、おいしそうなアイスを買って、とてもおいしそうに食べています。お父さんが抱っこして、木陰の涼しいところに連れて行きました・・・。-

【田万里】あの坊やすごく可愛いわぁ・・・・・。アイスとてもおいしそうに食べて・・・・。

【新】あっ、そうすねぇ・・・・。可愛い坊ちゃんですねぇ・・・・。
 僕は子供が大好きだから、あんな子供いたら楽しいですねぇ・・・。

【田万里】私も子供って可愛い・・・って最近は思えるようになったんです。

【新】それはどうしてですか??

【田万里】私、要領が悪くて、ずっと引きこもりだったのです。
 友達もほとんどいないし、フリースクールでやっと高卒資格とってアルバイトして・・・・。
 すし屋さんのバイトで色んな経験して、食べに来てくれるお客さんで、子供連れの人たちが本当に楽しそうにしていると・・・いいなぁ・・・・。子供ってかわいいなぁ・・・って。
 それまでは自分のことで精一杯で、こどもが可愛い・・・なんて余裕がココロになかったみたいでした。

【新】そうでしたかぁ・・・・。今はそういう余裕ができて素晴らしいですね・・・。

-新さんは、にこっと笑い、「私たちもアイス食べましょう」と、タマリちゃんを誘って、アイスの自販に行きましたよ・・・・。
 
 ★   ★   ★

 しばらくして・・・・・。

-楽しそうな笑い声で話し、おいしそうにアイスクリームを食べている新さんと田万里ちゃんの姿が木陰のベンチにありました。-

 川原近くの立ち木から、ウグイスの素敵な鳴き声が響いています・・・・・。


   2018.04.10掲載
Copyright 2012 Tama Ranzou all rights reserved.