|
|
|
|
学ぶとはなんでしょう・・・・。 |
|
|
|
|
|
人生、待ったなし・・・・。春の日は短い。 |
|
|
|
|
|
彼女大切なら、君も成長しなさい・・・ |
|
|
|
|
|
|
|
親父が息子へしてやれることとは。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
-環くんがどうも調子が悪いようで、心配したオヤジの乱蔵がドライブにさそいます。-
【環】オヤジさんとドライブ・・・・ってのも、珍しいなぁ。
【乱蔵】まあ、オトコは男同志・・・・というのも大切だからな。
【環】うーん・・・。でも、30年以上も年が違うと、感覚の違いって大きいと思うけど・・・・・。
-五日市街道沿い流行のコーヒーショップに入り、好きなものを注文するように乱蔵はタマキにいいます。オヤジ自身はブレンドコーヒーのみなので、タマキも遠慮して同じものを頼みました・・・・。-
【乱蔵】まあ、おまえが最近元気ないから、どんな具合かじっくり話を聞いてみたいと思ったんだよ。
【環】へぇーっ・・・・・。そんな元気ないように見えたんだぁ・・・。
-環はおねえちゃんにはたいがいのことを話していますが、時間と話の合わない父親にはあたりさわりないことばかり伝えていたように思っています。-
-乱蔵は一瞬、厳しい表情になりましたが、すぐ笑顔に戻って語りかけます。-
【乱蔵】まあ、タマキのマイペースは勉強とか、音楽はうまくやっているようだが・・・・。
-と、いいながらも、「オヌシ、なんぞ困っているだろう」という含み笑いをしています。-
【環】あっ・・・・、うーん。でも、それはオヤジさんとは感覚違うと思うから・・・・。
【乱蔵】ははは・・・。女の子のことで悩むなんぞ、オトコならそんなに大きな違いはないよ。
【環】あっ、やっぱりその件ね・・・。前にねえちゃんにも励ましてもらったから・・・・。
【乱蔵】そーかぁ・・・。でも、悩みの期間が長すぎるから、そんなんじゃいつも辛いだろう・・・。
【環】「わがままはオンナの罪」っていうけど、どれくらいワガママを認めるのか・・・・・ってゆーのが、よくわかんない・・・んだよね。
【乱蔵】おまえのママさんも、カワイ子ちゃんだっからかなりワガママだったけど、ある日の出来事をきっかけにかわったものだよ・・・・。
【環】うーん・・・。そーかあ。
ママさんもワガママ娘だったんだぁ・・・・。
【乱蔵】あのまま、ワガママ放題だったら、こうして結婚もしていないだろうし、こども2人を作って幸せな暮らしを守る、なんてできなかったろうね・・・・。
-タマキはブラックコーヒーをすすりながら、父親の話をじっときいております・・・・・。-
【環】あっ、これ苦い。やっぱり、ミルクと砂糖いれよう・・・・。
【乱蔵】まあ、まだ結婚するとかいう歳でもないから、そんなに悩まなくてもいいんじゃないの。
-環は、うーん・・・・といいながら、甘くしたコーヒーをすすっております。-
【環】そーだね・・・・。でも、胸がちくちくしたりするから、けっこうキツイね・・・・。
【乱蔵】そーいう素直なところは、おまえのいいところだね。
【環】うーん、そーか。でも、クルミちゃんは、どうも俺のそういうところをわかっていても、いろんな連中にチヤホヤされることを喜んでしまう・・・・。
【乱蔵】まあ、本命の相手だったら、相手が困ったり苦しんでいるのを平気でいられるわけはないものだけどね。
【環】うーん・・・。とりあえず、どーしたらいいのだろうね。
【乱蔵】タマキもクルミちゃんも、ぼっちゃん、お嬢ちゃん育ちだし、まだ若いから、人生経験がぜんぜん少ないだろ。
【環】うん。俺も苦労している友達を見ていると、結構甘く育っているような気分にもなる。
-おお、タマキくんは自分の坊ちゃん育ちの甘さに気づいているようですね。-
【乱蔵】金銭的には、この時代はまあまあ豊かな人と、かなり家計が厳しい人と、昔と違って格差が広がってるから、タマキの同級生でも苦労している人は少なくないだろうな。
【環】そうなんだ・・・・・。公立だから、色んな家庭の人がいるよ。
【乱蔵】まあ、ワガママなカワイイ彼女のことは苦労だろうけれど、おまえ自身がもっと広く世の中をみておくことも大切になる。
【環】あっ、それって俺も感じてる。このまま高校でて、どこかの大学いって、3年生くらいから就活やって会社入っても、結局ブラック企業で、すぐ退職して、そのままフリーター・・・なんていうコース・・・・知っているから・・・。
【乱蔵】そうそう・・・・昔と違うね。でも、わしらの世代も、中途で退職したり、リストラされたり、自分で経営始めても、大手に食われて素寒貧になって・・・なんていう人たちが「負け組」にされて、二度と這い上がれないでもがいている人たちもいっぱいいるよ。
【環】うーん、でも、親父さんたちは、一度はバブルとか、好景気とかいう時代で楽しんだ経験だってあるでしょ・・・・。
【乱蔵】そうだね。それがいい時代だったかはわからないけど、今よりは何かで頑張ればどうにかなれたし、経済的に無理だからって、結婚をはじめから諦めて・・なんてはなかったね。
【環】うーん・・・。その「期待」とか「希望」っていうのは、持つだけ無駄みたいな感じがある。
-乱蔵は息子のつぶやきに、ちょっとショック受けたようですね。-
【乱蔵】かといって、「今だけよければいい」って、生きかたするとあとがタイヘンになる。
【環】僕もそう思ってるから、勉強は頑張ってるけどね。
【乱蔵】まあ、そういう計算はちゃんとやってるんだけど、何が足りない・・・・って、自分で思うの???
【環】そーだねぇ・・・。オヤジさんが言ってた、「経験」かな。
【乱蔵】よしっ。それを春休みにやってきなさい。
【環】えっ・・・・。何すればいいの????
-乱蔵はおもむろに、ふところから封筒をタマキの前に置きました。-
【環】あっ5万円入ってる・・・。
【乱蔵】それとこれだ・・・。
-・・・と、乱蔵はユースホステルのガイドブックと、JR時刻表をテーブルに置きました。-
【環】えーっ!!
【乱蔵】これをもって、一週間くらいひとりでどこかに旅してきなさい。
【環】えーっ!!
|
|