若者の旅は何かが起こる。
★春のふれあい

 春の決意
 環の旅の成果@

-環くんが旅から帰ってきて・・・・・。-

      

   
タマキはどこでサクラを見たか・・・。  
   
タマキはどこで寝ていたのか。
 
 
心配していたオヤジでしたぁ。
 
 
   
-環くんがひとり旅から帰っています。彼の変化に驚いているのが両親と姉さんであります-

【お蘭】環が旅から帰ってきて、なんとなく変わったようね。

【乱蔵】うん、いろいろ聞きたいんだけれど、あいつ旅で時間使った分、勉強がタイヘンだとかいって、部屋からあまり出てこないんだよね。

【お蘭】うーん・・・。それは本当みたいだけれど、のんびり旅したようでもあり、なんか慌しかったようでもあり・・・・・。

 ご飯もさささっ・・・・とかけ込んであっという間に部屋に戻ってしまうから・・・・。

【田万里】まあ、「とりつくシマがない」って感じなのねぇ・・・・。

【乱蔵】そーだなぁ・・・・。いったい何があってどうだったのかよくわかんないのだが・・・。

【お蘭】それって、アナタもよくないのよ。
 帰ってくるなり、せっかちに、どうだった? あーだった、何がどうしたって、畳み込んで聞きまくるから、環はなんにも話したくなくなったんじゃないのぉ・・・・・。

【田万里】たしかに、そう思うわ。
 なんか報告するのを楽しみにしていたようだったのに、パパが急いで問い詰めるみたいなことするから、「まあ、こんどでいいや」って、いいながら部屋に戻ってもう2週間そんな感じになっているわ。

【乱蔵】だって、俺が5万円渡して好きに旅して来い・・・って見送ったんだから、ちょっとはなにか報告しても普通だろうよ。

【お蘭】それって、会社の出張じゃないんだから、「業務報告」みたいな感じでつついたら、環がせっかく真っ白で見聞したことが台無しになってしまうかもしれないわ。

【田万里】パパは仕事についたらそんな生活ばかりになるから、今のうちに真っ白な状態で世間を見聞して来い・・・・って、環を見送ったんだと思っていたわ。

【乱蔵】そーだけど、どうだったのかは聞きたいだろうよ。

-乱蔵は、口を開きかけた環が旅について何も話さないのが、どうしても不満であります・・・・。-

【乱蔵】予算とか、ガイドブックとか、それなりにセッティングしてやったんだから、報告なし・・・ってのはいけないね。世の中「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」が大切だからね。

【お蘭】はいはい・・・。ここが、会社だったら部下にそうさせてください。
 アナタの長男が、人生のどんな肥やしを得たのか・・・・。それをそっと受け止めるのが、今回の父親の役割だと私は思うわ。

 -どうも、父親の乱蔵の形勢が不利になっているようですねぇ・・・。。-

-乱蔵は険しい表情になりましたが、ふと淋しそうにため息をついております。-

【お蘭】まあ、環がなんにも話したくないんじゃなくて、せっつかれたのが嫌だっただけだから、徐々に話してくれるわよ・・・・。

-と、夫を励ますお蘭さんでありますが、お蘭さんも息子が無事に帰ってきただけで、あれ以来、何も話してくれないことを気にしているのですね。-

【田万里】そうよ・・・・。パパが言いだしっぺで環を見送ってから、心配になって円形脱毛症になったこと、環は知らないんだから・・・・。

【田万里】ほんと、オトコの人って見栄をはるからめんどくさいわぁ。
 環だって、まだオトナじゃないんだから、あんなこと、こんなことあったって、話したくて仕方なかったんだと思うわ。

【お蘭】ある意味、オヤジはこういう風に出てくる・・・って、読んでしまったから出鼻で話しづらくなってそのままになったんでしょうね。・・・・。

【乱蔵】そーかぁ・・・。ある意味、楽しみにしてたんだけどなぁ・・・。

【田万里】その気持ちは環も分かっているから、そのうち自然に話し出すわよ。

【お蘭】そーよ、そーよ。アナタがせっつくクセを我慢するしかないわね・・・・。

【乱蔵】うーん・・・。しかたないねぇ。

【お蘭】だけど、あの子、いったいどこへ行ってきたんでしょうね・・・。

【田万里】そーね・・・・。環のフェイスブックみていたら、どうも九州まで足伸ばしたようよ・・・・。

【乱蔵】【お蘭】えーっ!!

-初めてのひとり旅は、遠くても甲信越あたりだと勝手に想像していた乱蔵とお蘭さんは思わず、ぶったまげましたね・・・・・・・。-

                                           
続く
   2016.04.18掲載
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