ランゾーはピンチをなんとかごまかす・・・。
★家族の戸惑い

 父と息子の女難A


-これも運命でしょうかね。-

      前回

   
 ランゾーは台湾で攻められております・・・・・・。  
   
 
 
 
 オトコなんて、似たような・・・・・。  
 ※註 「雪隠攻め」について

 正しくは、せっちん‐づめ【雪隠詰(め)】(逃げ場のない所へ追い詰めること)ですが、多麻家では「雪隠攻め」・・・と、乱蔵の妻であるお蘭さんがしばしば用いる言葉です。

 乱蔵へのペナルティもしくは、肉食系女史を自認するお蘭さんの願望欲求のために、夫を逃げられないようにして、一方的に攻め立てる行為及びその場所・・・・のことを指します。

 台湾の温泉宿に閉じ込めて、夫婦による夫婦のための(・・・・ってゆーか、妻お蘭さんのワンウエイなる)夫への懲罰行為・・・・と、ご理解下さい。

 女性の嫉妬の恐ろしさを中年になっても感じることも、知ることもなかった乱蔵氏が、いかなる懲罰を妻にされるのかは、皆様のご想像にお任せいたしましょう。

 もちろん、今回のことで「領収書」は、なんの言い訳にもなりませんでしたとさ・・・・・。
 
 
-ランゾーの「キャバクラ騒動」から2週間・・・・・・。-

-なぜか
一週間の台湾旅行に出かけた乱蔵とお蘭夫婦・・・・。
 娘の田万里と息子の環がリビングで、しみじみ話合っておりますね。-

【環】でもなぁぁ・・・・。このウチに、こんな騒動がおこるなんて思わなかったよぅ・・・・・。

【田万里】まあ、パパの、あの
舛添サン的なちょいとセコイ「領収書」こだわりから始まったことだけれど・・・。

【環】経費で落とせないと損・・・・という感覚があるから、仕方ない・・・といえば仕方ないんだけれど、ちょっとこだわりすぎたかもしれないね。

【田万里】まあ、取引先に無理強いされて、
キャバクラで接待させられたところから悲劇は始まったのだけれど・・・・。

【環】「レディースナイト○分寺」って、系列のレストランの領収書で切ってくれるらしいから、親父みたいな社用族がけっこう使うらしいんだよね・・・。

【田万里】まあ、地元すぎる店だから、知り合いの女の子とバッタリ・・・ということもありえたわけだからねぇ・・・・。でも、高校生のクルミちゃんがバイトしていたなんて、私、ビックリしたんだわぁ・・・・・。

【環】クルミちゃん、バイトで稼ぐのにハマッチャッテ、ファーストフードのバイト仲間に誘われて、ときどきあそこでバイトしているらしいんだ・・・・・。それはマズイんだけど・・・。

【田万里】そーかぁ・・・・。それは「まずい」って、パパが寝言で言ってたとおりかぁ・・・・。

【環】うーん。でも、そういう店にやってきて遊んでいる
オジサンに説教されるのが、女の子にとっては一番むかつくことらしいから・・・・。

【田万里】そりやそーよね・・・。だからパパはしきりに「領収書」、「領収書」・・・って、自分の言い訳を口にしていたのね・・・・。

【環】だからって、「説教」したら・・・・。それって無理・・・じゃん・・・・。

【田万里】取引先のオジサンと大はしゃぎしていたのをクルミちゃんに思い切り見られちゃったから、バツが悪くて、かえって説教なんかしちゃったんじゃないの????

【環】「おじさんはね、これが仕事なんだよ・・・・。だけど、クルちゃんは今、こんなことやってちゃいけないよ・・・。」みたいなこと言っちゃったようだね。

【田万里】かなり酔っ払っていたみたいだから、あのクルミちゃんなのか、あまり確かじゃなかったようだったしね。

【環】いずれにしても、どっちもバツの悪い思いしちゃったみたいで・・・。

【田万里】でも、なんでクルミちゃんの名刺がポケットに入っていたんだろう????

【環】なんか、親父の説教がけっこうクドかったみたいで、帰る前にクルミちゃんがこっそり親父のポケットに入れたらしいんだよ。

【田万里】それって、アンタが最近、クルミちゃんに冷たいって怒られていたのと、パパの説教にムッときたのと、一緒に自爆テロみたいな仕返しみたいな感じがする・・・・・。

【環】最近、ラインで話した時は、そんなの「オトコなんてみんなそーよ」みたいなこと言ってたから、特別ムカついたわけではないみたいだけど、オジサンたちが自分をさておいてセッキョーする感じが一番イヤみたいだね。

【田万里】まあ、今回は、ママが一番怒っていたから、その火消しにパパはおおわらわだったわね。

【環】親父も、キャバクラとか、ピンパブとか適当に遊びに行ってるのに、ママさんにそんなの全然関心ない・・・みたいなこと普段言ってたから、あんなに怒られたんだよぉ・・・。


-どうも、乱蔵の娘や息子たちは、知らない間に父親の「秘密」も気づいていたようですね・・・。-


【田万里】私もサービス業で働いているから、いろんな組見合わせのお客さんたちも見ているし、その人たちのムードみているとどんな関係なんかって、なんとなく分かるわ。

【環】そーだよね。韓流ドラマみたく、すぐ修羅場になっちゃう時代はちょっと古いかもね・・・・。

【田万里】でも、
オジサン・・・って、「自分だけはバレテナイ」って、思っている人多くない??

【環】多いかもしれないね。そういう意味では、ママさんは古風かもしれないよね。

-・・・・と、環は、自分の両親の修羅場についても妙に冷静なのであります。-

【田万里】でも、タマキは、彼女のクルミちゃんがあそこでバイトしていたことショックじゃなかったの?????

【環】・・・・。うーん・・・。意外と、そうでもなかった。
 クルミちゃんのママってすごくキレイなんだけれど、若いころはフロアレディのバイトもやっていたんだって。だから、娘がふとそんなことやっても、気をつけなさいよ・・・・くらいのものだったらしいんだ。

【田万里】へーっ・・・。そーなんだぁ・・・。ある意味、アンタって、偏見とか先入観みたいなのがない考え方なのね・・・・。

【環】でもさぁ・・・・、夜のキレイなお姉さんがいないような世の中だとしたら、それって結構暗いものもあるんじゃないの?????

【田万里】そーよね。なんか、
大げさに騒ぐほどのことじゃないっていえば、そーだしね。

【環】まあ、クルミちゃんがあそこでバイトするのはいいことじゃないけど、なんか、そういうことに向いているような気もして、なんか複雑な気分なんだ。

【田万里】でも、なんでアンタはそんな妙にオトナみたいな考え方するようになったの????

【環】この前、九州の立花さんが東京出張のとき、ウチによってくれたじゃん。

【田万里】ああ、そうそう。ママたちにも挨拶してくれたよね。

【環】あのあと、週末こっちに泊まるからって、環くんこのあたりを案内してくれよ・・・・っていうから、立川周辺の繁華街を一緒に歩いて過ごしたんだ。

【田万里】ああ、予備校の帰りに付き合った・・・というあの日ね。

【環】俺は酒飲まなかったけど、居酒屋とか、キャバクラとか、スナックでカラオケとか、はしごしていろいろ付き合ったんだ。

【田万里】へーっ・・・。立花さんって、豪快で優しい人だから、楽しかったでしょ。

【環】そーなんだよね。ミドリさんっていうレッキとした彼女がいても、夜の女の子たちにモテモテで、「彼女ばいるばいっ」って・・・・、思い切り九州弁で全部言っちゃってるんだけど、それでもモテるし、お店で楽しく過ごせる人なんだよね。いつも笑って、「よかよか」って、みんなを楽しませてくれるんだよ。

 気前もいいし、でも、ヘンな見栄は張らないから、いっしょにいても楽しい気分でいられるんだ。

【田万里】へーっ・・。遊び人っていうよりも、正直な、堂々オトコってかんじぃ・・・。

【環】だから、僕は、立花の兄さんって、
サムライ・・・だって思っているんだよ。
 お客だからって、いばったりしないし、本当はすごく強いのに、とても優しいんだ。

【田万里】そーよね。ママも渡辺謙さんみたいでカッコイイ・・・って絶賛していたもんね。

【環】そこで、夜のお姉さんたちにいろんな話聞くことできて、この人たちって、いろんな人を楽しませる仕事頑張っているんだなあ・・・・って、フツーに思ったんだよね。

【田万里】そーよね。遊びするのに言い訳ばっかりしている方がヘンかもしれないわね。

【環】ママさんが怒りまくってたけど、なんで急にふたりで台湾行くことになったの????

 -タマキは両親の諍いの結果、急に台湾へ出かけたことが理解できないようです・・・・。-


【田万里】あれはぁ・・・・・。まあ、簡単に言うと、あの騒動で、接待失敗になっちゃって、仕事がなんだか分からない理由でパパの仕事、中断されたのと、ずっとママの怒りがおさまらないから、パパが急きょ、今まで行こうと思っていた台湾旅行に連れて行って、ママのご機嫌をとろう・・・・ということになったらしいわ。

【環】それも、「領収書」出るやつなんだろうか・・・・????

【田万里】出るんじゃないの。舛添サンだって、家族の熱海旅行でも経費で落としていたんだから、パパも新規事業の仕入れだとか、視察とかなんかつぶやいていたから、そんな感じでまた「領収書」取ってくると思うよ。

【環】ある意味、それも「ど根性」だよね。やりすぎると、ママさんとまた現地で喧嘩になるかもしれないけど・・・・・。

【田万里】あははは・・・。たぶん、それは大丈夫。ママも、「経費」にすることは大賛成で、別に領収書とか、パパが経費にあわせて行動したことに怒ったんじゃなくて、
キャバクラとか、内緒で通っていたフィリピンパブで大はしゃぎしていたことにムカついていたんで、台湾の温泉で籠もったら、買い物以外は「雪隠攻め」※註にしてやるぅ・・・・なんて言ってたよ。

【環】へーっ・・・。なんか、ペナルティにしては甘い感じだけど・・・・・。

【田万里】でも、私の周りでも、熟年離婚した両親の話よく聞くけれど、
バレタ、バレナイ・・・なんていうことじたい、なんか可笑しなこと・・・・って感じるわぁ・・・・。

 だいたい、オジサンのやることなんて、若い世代にはバレバレなんだからねっ・・・。

【環】うーん。僕もそうう思うけど、親の世代のオジサンやオバサンたちって、よくわかんない感覚・・・・あるね。

【田万里】きっと、私たちと違う「世間」とか、「思い込み」があるんだね。バレバレのことが表に出ると、大騒ぎする・・・・ってかんじぃ・・・・。

【環】うーん。ママさんもそうだけど、人と比較する・・・・ってこと、多いかもね。

【田万里】ワタシ・・・・ひきこもり長かったから、他の人がどうの・・・ってあんまりわからないわ。

【環】まあ、姉ちゃん、ひきこもりじゃなくても、自分は自分で・・・・って考えるのが、一番いいんじゃないのかな。誰と比べても、なんにもならないし、だからどう・・・・って考えるのもあんまり意味ないと思うなぁ・・・・・。

 -・・・・なんて、話していると、環のスマホにピーン・・・というラインのメッセージ入りの音がしましたよ・・・・。-

【環】・・・・。あっ、立花さんだ。へーっ。明日東京出張だから、夜会おうかぁ・・・・だって。

-タマリちゃんは、なにか、今までと違う展開になるような気がして、じっと弟の顔を見つめております・・・・・。-

続く


                                          
   2016.10.17掲載
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