タマキくんの運命転換・・・。
★家族の戸惑い

 父と息子の女難C


 -タマキの人生観が変わった日・・・・・。-

      前回

   
 立花さん、実に正直です・・・。。  
   
 
 
 
   
 
-環は、携帯電話に姉からの、ラインの受信サインが入ったことに、つい気がつかなかったのです・・・・・。立花さんと熱心に話していたことと、隣席の人の携帯電話が鳴ったタイミングが重なった「偶然」もありました。-

-そのこととは別に、タマキの横で人が立ち止まる気配がしましたので、ふとマグロをつまんでいた箸をとめて顔を上げてみると・・・・。-

【環】あ-っ、なんでぇ・・・・・。びっくり!!

-なんと、そこには、満面の笑顔の九州のリカちゃんと、従姉のみどりさんが立っていたのでありました。-

【立花】いやあタマキくん、黙っていて悪かねぇ・・・・。あの「サプライズ」って奴、やってみたばいっ・・・・。

-みどりさんは、立花さんの隣に座り、リカちゃんは環の隣に座りました。環の横に座ったリカちゃんの温もりとちょっと懐かしい匂いがしますね。-

【みどり】実は、私たち、立花さんの営業車に便乗して乗ってきたのよ。
 こげんなコツ、ハズカしかだけど、東京ばみてみたかったから・・・・。

【立花】会社には内緒じゃけん、みどりば、どうしても東京ばみたいゆうちょるけん、ワシもついOKしたわけだねぇ・・・。

-なんと、立花さんは、営業車でふたりの女の子を東京に連れてきてしまっていたようです。-

【リカ】タマキくん・・・・。お久しぶりねっ・・・・。あのー・・・・げんきだった??

-隣の席で、リカさんはなんか恥ずかしそうにチラ、チラ・・・・と、タマキをみつめながら小さな声でタマキの表情を読み取ろうとします・・・・・・。-

-・・・・なにか、不思議なムードに包まれてしまったタマキ・・・・。
 FBやラインでしばしば連絡はとっていましたが、突然遠いところから現れると、生の人間の感触というものが、オンライン上とはまったく違うことにも、またビックリしています・・・・・。-

【環】ああ・・・・。はい。元気ですよ。
 なんか、チャットしているときと感じが違って・・・・・。でも、リカちゃんも元気そうでよかったなぁ・・・・・。

【立花】まあ、みどりも、リカも空腹じやけん、とにかく寿司たべたらよかっ。
 タマキくん、そこから流れてくるやつ、10皿くらいどんどん並べてくれよぉ・・・・。

-立花さんは、なんでもいいから、ふたりの女の子たちに寿司を食べさせようと、タマキといっしょに流れてくる寿司を片っ端からテーブルに並べ始めました。-

【みどり】あらあら・・・・、みっちゃん(立花さんは、立花道男という名なので、恋人のみどりさんは「みっちゃん」と呼んでいるのであります)、それは、他のお客さんが注文したのだから、とったらいかんばい・・・・・。よかよか、わたしと席交換ば、ねっ・・・。

-みどりさんは、がむしゃらに皿をとる立花サンを優しく叱って、流れのあるベルト近くの奥席にいる立花さんと、席を交代しました・・・・。-

【立花】やはり、なに食べるかがいいかは、みどりに任せるが一番ばい。あははは・・・・・。

-立花さんは、サムライらしく豪快に笑って、みどりさんと席を交代すると、彼女たちがなにを選ぶのかはまったく無関心で、彼女が差し出す皿をほとんど見ることもなく、おいしそうにわしわしと食べておりますねぇ・・・・。-

【立花】ははは・・・。みどりは、ワシが心底好いたおんなじゃけん、なに喰わされようが、わしゃおいしいしか、しらんばいなぁ・・・。はははは・・・・。

-タマキは立花さんの豪快なノロケに圧倒されてしまいます。そんな立花さんの言葉に、ちょっと頬を紅く染めて、立花さんの世話をうれしそうにしているみどりさんがとてもキレイにみえましたね・・・。。-

【リカ】もう、ミッチーにいさんは、ハズカシ気もなかじゃけん、みどり姉さんはいつもハズカシかときばあるけんねっ・・・。でも、愛は、こげんがよかなぁ・・・って、私、いつも感動してるもんなぁ・・・・。

【環】すごいなぁ・・・・。立花さんがみどりさんに惚れているってオーラが、キラキラ渦巻いているみたいで、なんか眩しくなっちゃうねぇ・・・・・・。

【みどり】もーっ、いいのっ・・・。環くん、恥ずかしいから、そのへんで別の話題にしましょ・・・・。

【リカ】ミッチー兄さんたちのラブラブは、いつも私もまぶしかっ・・・。
 でも、よかねぇ・・・・。二人の世界だけじゃなくて、近くの人も幸せにするみたいな感じが、わたしもうれしかなぁ・・・・・。

-そして、懐かしい、九州の環の旅の思い出などに話が弾む4人です。心からわくわくするような楽しいひと時に、4人は時間を忘れ、寿司の皿がどんどん山のように高くなっていきますね・・・・・。-

 -おやおや・・・。いつの間にか、リカちゃんも、みどりさんのように環と席を入れ替えて、みどりさんが立花さんのお世話をしているようなスタイルで環の世話をしているように・・・・・・見えますねぇ・・・・・。-

-会計のカウンターに、チャラ系の兄さんと一緒にいる(先ほどバイト帰りのタマリちゃんが発見した)タマキの彼女クルミちゃんが、タマキたちの存在に気がついて遠目から様子を凝視しているところでした。でも、タマキたちは、クルミちゃんの存在に誰も気づいていないのであります・・・・・。-

【リカ】はい、タマキくん・・・。

-リカちゃんは、タマキのお茶を入れ替えて、さっきからしきりに食べている無料のガリをさらに山盛りにしてタマキの目の前に置きます。-

【環】(なんか、不思議な感じぃ・・・・。いつも、母親が世話やいてくれるけどこの感じって、まるで母が父親にやっているような、あの感じだぁ・・・・。)

 あっ、リカちゃん・・・。ありがとう・・・・・。

-・・・と、。-言いつつ、リカちゃんが新しく入れてくれた茶をすすり、山盛りのガリをおいしそうにつまむ環でありました・・・・・。

【リカ】ふふふ・・・。環くん・・・・・・。って、カワイイ・・・・。

-環たちの目の前でイチャイチャしている立花さんたちは、ふたりの動きはまったく目に入っていませんでした・・・・。そのとき、リカちゃんの柔らかい指がテーブル下のシート上にあった環の指にふれ、彼女がふっと振り向いた時の視線をタマキが受け止めた瞬間・・・・のことでありました。・・・・リカちゃんは、そっとタマキの耳元に顔を近づけて、とても小さい・・・・しかし、はっきりした声でつぶやきました・・・・-

【リカ】タマキくん・・・・。わたし、好いちょぅ・・・・・・。

【環】・・・・あっ!!

-リカちゃんの熱い息を耳に感じるとともに、「好いちょぅ」・・・・という言葉が、タマキの脳の奥深くに浸透していく・・・・、彼女の熱い視線の光の矢が心臓の中に吸い込まれていくのを感じたのです・・・・・。そして、彼女の触れた指から関節の緊張がすべて解けてしまいそうな電流が流れたのを実感しました・・・・・・。-

【環】あっ・・・・・。
-このとき、タマキの目にはリカちゃんの瞳しか見えなくなり、周囲の音も一切聞こえなくなったのであります。て、そして感じているのは、テーブルの下で触れている指と指の柔らかい感触だけでありました・・・・・。

-一方、キャバクラのバイトの同伴で、男性と食事を終えたクルミちゃんは、「店のお客彼氏」が促すのをさえぎって、駐車場でスマホのラインメールを打っておりました。-
-そのとき、タマキはまだまだ「宇宙の中」にいました。彼の携帯電話のラインの着信音・・・・も、聞こえていませんでした・・・・・。-


 
続く
                                          
   2017.01.01掲載
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